shine-Notes

ゆるふわ思考ダンプ

読書ノート:「勝てる野球の統計学 セイバーメトリクス」

【サマリ】

  • SABRmetrics≒プロ野球ビッグデータ分析
  • WAR,UZR等いろいろな指標は有るが、絶対的な計算式が必ずしも有る訳ではない。意外と各者(社)で妥当な数値を探して係数を日々試行錯誤している。
  • 数値は絶対ではないかもしれないが、特に相対比較において分析が力を発揮する世界は間違いなく有る。

【経緯】

野球は元々好きなのだが、手に取ったきっかけはまったく別。 IT技術系の資料を漁っている時に「データドリブン」という単語を見かけたのだけれど、

(´・ω・`)「…データドリブンって具体的になんだ?」

という疑問がその日以来胸に去来していた。 tech.nikkeibp.co.jp

無料公開の期間が終わってしまったので全文は見れないのだけれど、このインタビューでもDeNAラミレス監督が選手育成や起用にデータを利用している事を色々と話している。

(´・ω・`)「…つまりデータドリブンな判断って、所謂セイバーを活用する野球みたいなもんなんかな?」

そう考えたものの、そもそもセイバーのことを実はよく知らない(OPSくらいしか知らなかった)。 ちょっと一冊ちゃんと読んでみっか、と思い手に取った。

【感想】

面白かった。統計学というより、プロ野球が好きで、打率や本塁打等の数字を語るのが好きな人こそ読んでほしい本。 個人的には指標そのものよりも、データドリブンで物事を捉えるという事に色々と思いを巡らせた。

  • 数字は絶対ではないが、相対比較においてはかなりの威力を持つ。
  • 数字は絶対ではない。意味を主体的に持たせていった結果の指標が有る。
  • 数字に対しては常に試行錯誤をすべき。既に物差しがあるなら、物差しの目的と意味に思いを巡らせるべき。

上記は書籍とは直接関係なく、個人的に思ったこと。 例えばプロ野球には「2桁勝利、2桁本塁打」「3割打者」など定説化した物差しが幾つか有って、私自身もこういった物差しを好んで使ってきた。でもそれって、数字としての見栄えの良さ、キリの良さ、わかりやすさから生まれた所もあって、「点取られまくるけど結果10勝してれば良い投手なのか」「2割5分で四球選べる打者のほうが上位打線に欲しくないか」等、少し考えれば色々と疑問は出てくるはずなのだ。

でも恥ずかしながら、自分はこの本を読むまでそれ以上深く考えることはしてこなかった。感覚論として終わらせてしまう。そんな時に、数字に取り組んで意味を見出すこと、比較していく、というアプローチはとても効果がある。(個人的にはUZR(UltimateZoneRating)と守備率の話には目からウロコが落ちた)

恐ろしいのが、これはプロ野球にも限らない話な所があって、例えば普段のビジネスで使っている物差しが本当に目的に沿ったものになっているのか……例えばゴールデングラブ賞のように、なんとなくで評価されて決まる人事異動が、企業にも無いか、本当に試合に貢献していたのは、実は別の人だったのではないか……なんて話は良くありそうだ、なんて思ったりした。 個人的には、毎年試行錯誤してブレが出るとしても、WARで人事評価される世界のほうが納得できる気がする。

【メモ】

  • 「無死満塁は点が入らない」は本当か? ノーアウト二三塁や一死満塁と比べても?
  • 野球は攻撃の際に失点しないし、守備の際に得点もしない。相手より多く得点すれば勝てるのが大原則。故に期待値は出しやすい。
  • 守備率→どの範囲までボールにアプローチしたかの視点が無い
  • 被安打は投手だけの責任だけではなく、守備の力量にも左右される→投手自身の力量はを量る指標を考えてみよう

以上