予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,熊谷淳子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/08/23
- メディア: 文庫
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【サマリ】
・人間は自分が思っている以上に合理的でない判断を下しているという話。
・「薄々そんな気もしてたけど根拠はない」と思っていたことに対して、さらっと実証実験してみた結果を繰り返し示してくれるので飽きない。
・個人的にはここ最近読んだ本で一番面白かったが、既に身の回りで活用されている例もよく見るので、自分が「行動経済学」に疎かっただけかも。
【感想】
判断コストがゼロになった瞬間に多数派の購買行動が変化するというのは、行動経済学の知見とも合致する(アリエリーの有名なチョコレート実験とか)。裏返すと、トレードオフを考えながら最適行動を取れる人は少数派だ、というのが破壊的イノベーションの行動経済学的な解釈だと思っている。
— ミック (@copinemickmack) November 25, 2017
SQL関連の書籍で著名なミックさんが、Twitterでちょろっとこの本に出てくる話を出していて、それで気になって手を出した。
まったく不勉強なエリアだったので目からウロコの連続だった。内容についての備忘は後述。読後に思いを馳せたことは2つ。
「マーケティングの世界って面白そう(小並感)」
「これ前提だと市場原理をベースにした思想(自由主義)って結構怪しいんやな…」
特に気にかかってるのは後者。
経済オンチなりに自分は「例外こそあれ、結局大体のものは市場原理に任せれば良いんでねーの?(思考停止気味)」と考えてしまいがちなのだが、思ってたほどそうでない。
じゃあ、大衆に商売だったり政治だったりでアプローチする場合って、本来「そうあるべき」と思われている市場原理が働くよう修正するようなアプローチが良いのか、最初から行動経済学チックに「そうなって欲しい」方に誘導してしまうアプローチが良いのか、なんてボンヤリした事を考えている。
【備忘録】
相対性:合コンで自分よりちょいブスを連れてくる女子は相対性を有効活用している
アンカリング:自由市場だからといって需給で全てが決まるわけでは無いんやで
ゼロコスト:¥0の訴求力は万国共通、けれど¥0は市場規範ではなく社会規範を連れてくる事もある
プラセボ効果:「はいはいプラセボプラセボ」とはよく言うが、プラセボだろうと聞いている瞬間期間もある
信用は公共財:信用は公共財、みんながズルをするとズルが当たり前になり信用の価値は下がっていく
現金は偉大:現金の見えにくいシチュエーションでこそ不正は起きる、雨の日にビニール傘をパチる奴は増えるが、別にビニール傘代ウン百円を拝借するやつは増えない
選択の自由:人間は選択の自由を残したがるが、選択を迷う時間でもっと出来たことが有ったのではという事には気付きにくい
以上