shine-Notes

ゆるふわ思考ダンプ

読書ノート:「日本人の9割が知らない遺伝の真実」安藤寿康

【サマリ】
・髪の色や肌の色が遺伝するのだから、知能や性格も遺伝するのでは?と思って調べたらどうやら遺伝してるっぽかった。
・時代によって必要とされるパラメータは変化する。どのパラメータが絶対という訳ではない。

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【感想】
長らくkindleでロングセラーになっている新書。読みやすい。
皆が薄々遺伝有るよね、と思っていた所に、エビデンスとしての具体的調査結果(一番多いのは双子のトレース)を提示していく。

示される事実はさておき、この本を自分が手に取る&売れる要因として、「全ては結局遺伝で決まる」的な運命論への引力は、間違いなく有ると思う。
誰だって自分のことを決める運命が有るなら知りたいもの。

そこに対して、作者は遺伝で何処までが決定されるのか、その結果をどのように捉えて欲しいか、思考停止ではなく未来につなげる提示をきちっとしている。それを救いと取るか、それでも結局…とペシミスティックに取るか。多分どっちも正しくて、おそらく人生を楽しめるのは前者なのだろう。


【メモ】
・知能には様々な種類のものが有る(多重知能理論)
 ⇔ベース「頭の良さ」は有って、そこに各種特殊知能が積み上がる(一般知能理論)
・知能とは、知能検査で測られる能力である
 =検査の数だけ物差しは有る。物差しを作ればそこにパラメータが発生する。卵が先か鶏が先か。
・昔は具体作業に対する能力、パラメータが必要とされる時代だった。今は抽象化能力が必要とされる時代。
・知能=生得的に上限の決まったパラメータ
 性格=生得的に最初からある程度数値の割り振られたパラメータ
・現代の教育は、かけっこの能力という一つの物差しで序列を決める
 「かけっこ王国」に似たものがある
・共有環境=どこでどんな環境で生活してきたか(家庭環境・親の教育)
 非共有環境=遺伝してきたパラメータ
 双子を見る限り、非共有環境のほうが人生への影響は大きい
 人にとって一番身近なのは共有環境(個人の環境)なので、どうしても環境の差が個人差の唯一の原因だと考えがち
・どうやら子供が何を好むかは教育よりも遺伝の方が影響が強そう

以上